1両の価値に複数の答えが出る理由
米をどれだけ買えたか、職人の日当の何日分か、そばを何杯食べられたか、小判に含まれる金がいくらか。どの比較でも「価値」の一面は表せますが、結果は一致しません。
さらに、江戸時代は長く、貨幣の品位や金銀銭の交換相場も変動しました。時期、地域、貨幣の種類、比較対象を指定せずに「1両=現代の○円」と断定すると、重要な条件が抜け落ちます。
- 生活必需品との比較:米、そば、家賃など
- 労働との比較:大工の日当、奉公人の給金など
- 素材との比較:小判に含まれる金の量と現在価格
- 貨幣間の比較:金・銀・銭の当時の相場
調べるときに最低限そろえる条件
史料に1両、1分、1朱、匁、文などの金額が出てきたら、まず年代と地域を確認します。次に、その場面で知りたいのが生活費、賃金、商品の価格、金属価値のどれかを決めます。
比較対象が決まったら、同時代の相場資料と現代の同種価格を使います。一つの数字へ絞るより、米価ではこの範囲、賃金ではこの範囲というように複数の見方を並べる方が実態に近づきます。
このサイトで対応していない理由
このサイトで日本円を計算できるのは、円を単位とする制度が始まった1871年以降です。同じ計算を江戸時代まで無理に広げると、当時のお金の制度や地域差を無視した数字になってしまいます。
対応していない範囲を無理に計算する代わりに、日本銀行金融研究所貨幣博物館と国立国会図書館の資料を案内します。江戸の金額は、自動計算より資料を選ぶこと自体が重要です。